夏の短編

いつか小説が もしも書けるなら
青い色の表紙にするわ
だって海よりも 揺れるあなたへの
気持ち 今はうまく言えない

好きよりもっと
切ないわけを
打ち寄せるたび 波が教えるの

ふたりの夏が終っても
そうよ この瞬間の
あなたの瞳 忘れない
見つめるたびに まぶしくて
少し臆病になる
私をこのまま 強く抱きしめて

スコールを待って 泳ぐ魚たち
じゃれる仕草 真似するあなた
ずっと探してた 懐かしい声が
沖の方で 私を呼ぶの

恋よりもっと
大切なもの
濡れている胸 熱くさせるから

ふたりの夏を閉じこめた
青い短編集を
心の中で開く時
夢見るように 微笑んで
ふたりだけのシーンを
覚えているよと 海につぶやいて

ふたりの夏が終っても
そうよ この瞬間の
あなたの瞳 忘れない
見つめるたびに まぶしくて
少し臆病になる
私をこのまま 強く抱きしめて
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