未來のイヴ

ケミカル・スコープで
覗いて 朝まで
禁忌などない
お気に召すまま
解剖学的に愛して

都市は巨大な
実験場なの
不用になれば
すぐに消される
情熱に生き急いで

地下室にエデンの園
奪い合う 幸福は 幻

未來のイヴ
メフィストフェレスの
骨から生まれた
涙もないアンドロイドの
堕落の女神よ
あなたの林檎
舐めさせて 齧らせて
含ませて 罪の味を

金属の脳には
めくるめく恍惚
天使のままで
死に絶えていった
少女たちの記憶なの

誰もが変わらぬ
決められた運命
無情の神に
隷属の日び
ほんとの自由などない

信じられるモノはここに
横たわり微笑む肉体

理想のイヴ
科学者達が
すべてを注いだ
愛 操る 電子仕掛けの
安息の娼婦よ
誘惑の蛇
まさぐって突き刺して
さぐらせて 闇の奥を

あなたの瞳に 見つめられて
紅玉の胸 鼓動が鳴り出す

わたしはイヴ
メガロポリスの
妄想で育った
汚れ知らぬアンドロイドよ
やさしく抱きしめて

未來のイヴ
メフィストフェレスの
骨から生まれて
涙を知るアンドロイドは
恋する女よ
あなたの林檎
舐めさせて 齧らせて
悟らせて 生きる意味をもっと
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