はじまる波

片方ずつ分けた イヤフォンで離れて聴く新譜(きょく)の
気の早い季節を 君は「嘘っぽい」と苦笑った

「まだ来てない夏に とり残される」

空の近くの 元ベンチで
僕だけが知る 君を見つけた

話すことなど なかった君が
心に落ちる 碧く深く

“時が癒してゆく”… 誰もが口にして悲しいよ
残酷な強さで 人は寂しくても生きれる

立ち昇る陽炎 僕を揺らして

恋や愛とは 違うものに
惹かれる意味も 解からずにいて

すれ違う度、だけど感じた

―僕ラハ・同ジ・水デ・デキテル―

君がいるから 戻ってゆく
あの場所だけを 信じたくなる

恋や愛とは 違うものに
惹かれ途惑う その眩しさに

泣きたくなって、だから笑った

僕らは、同じ、波を、聴ける。
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