伊根の舟歌

浪花の空に千切れ雲
最終の夜汽車で岬を廻る
俺は女を許せるか
逢えば未練じゃないのかい
黒髪さすり お前愛した
命と命の暮らしだった

涙の顔がちらついて
海鳴りの重さにまぶたを閉じる
同じ女に惚れた俺
殴り倒せば済むことか
泣き声染みる 無言電話に
カモメが若狭へ俺を呼んだ

タバコを深く吸い込めば
舟歌が男の涙を燃やす
冬の花なら抱いてやる
寒い女にさせるかよ
死なずにいろよ 化粧変えても
迎えに来たんだ 伊根の海よ
×