砂の人形

あてもないまま 汽車に乗る
こんな淋(さび)しいことが ありますか
好きだから 別れるなんて
軽く言える 男のきもち
わからない
わからないから 心のけじめ
つけたいための 北の旅

かぞえきれない 駅を過ぎ
涙いろした空が 白むころ
はじめての 海辺の町は
潮のけむり 群(む)れとぶ鴎 
やさしいの
やさしすぎるの 睫毛(まつげ)にしみる
貝がらひとつ 夢ひとつ

いくらまごころ つくしても
恋ははかない 砂の人形ね
波と風 ひと吹きすれば
消えてしまう 跡かたもなく
つらいけど
つらい思いを たちきらなけりゃ
見えない明日(あした) ひとり旅
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