さくらの木

もしも、母さんが叱らなきゃ、
咲いたさくらのあの枝へ、
ちよいとのぼつてみたいのよ。

一番目の枝までのぼったら、
町がかすみのなかにみえ、
お伽のくにのやうでせう。

三番目の枝に腰かけて、
お花のなかにつつまれりや、
私がお花の姫さまで、

ふしぎな灰でもふりまいて、
咲かせたやうな、氣がしませう。

もしも誰かがみつけなきや、
ちよいとのぼつてみたいのよ。
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