孤乱

闇の杜(もり)に溶ける影
冷えた焔(ほのお) 夜半(やわ)の嵐
奇禍(きか)とするな
ひりつく胸の至遠(しえん)ののぞみ抱けば

研ぎ澄ました技のみが
紅蓮(ぐれん)の眼に似つかわしい
放れ箭(や)には 冬ざれのみが似つかわしい
欺瞞(ぎまん)もない

衝動の如くに突き上げる歓喜を
孤影(こえい)の背に負い 忘却に喰わせろ
死にいそぐ者の 呪縛を解き放て
おぞましく朽ちた 赫(あか)い星の欠片踏みしめ

闇の杜を 蜘蛛の巣も破らずゆく
ありきたりの情念すら
蝉の抜殻枝に戻し 消してしまえ

突き抜けていくか
横なぐりの雨のそのむこうを吹く
涅槃(ねはん)西風(にし)にも似て
すべて薙(な)ぎ倒せ 立ちはだかるものは
覇道から逸れた 狂い涛(なみ)の謡、狂言

衝動の如くに突き上げる歓喜を
孤影(こえい)の背に負い 忘却に喰わせろ
死にいそぐ者の 呪縛を解き放て
おぞましく朽ちた 赫(あか)い星の欠片踏みしめ

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