あの頃 マリー・ローランサン

マリー・ローランサンの
絵の前に立ち止まり
欲しがる君を 連れて帰ったり
日曜日は 二人だけで 過ごしたもの

去年のブルゾンの
袖など まくり上げて
オープンしたての キャフェをのぞいたり
日曜日は 二人だけで 過ごしたもの

アパートの広告 読み散らかしては
何とはなしにお互い 未来を夢みていた

マティネイの切符は
昨日の土曜のもの
口もきかずに 破り捨てた君
その夜は 長椅子で ひとり寝たもの

タイピストやめて オムレツ焼くのも
いいかもしれないなどと 気をもたせた科白も

ウィンドウで見つけた
コーラルのブローチ買い
その帰り道 どこかで失くした
泣きそうな そんな君を 愛したもの
泣きそうな そんな君を 愛したもの
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