五感

見るものすべてに
あなたが隠れてるの
そばにいられないなら
もう消え去って

初めて五感を 憎いと思ったのよ
流れる曲とこの香り
染み込んでいた

二人でよく行ったあの店には
もう二度と行けない
次はその味を憎むのでしょう私
外から見える 窓ガラス越しの特等席には
一人では戻れない ただここから見てる

心と身体が
すべてを覚えてるの
他の誰かといても
消えぬ幻

よく似た背中の 慣れた煙草の匂い
忘れられないあの仕草 熱い体温

二人歩いた街並み
何も変わらないままなのに
もし会えたなら 笑顔でいたいけど私
中途半端な曇り空 雨で洗い流してよ
染み込んだ記憶を全部 全部 全部

五感を閉じれば 楽になれるのかしら
冷えた指先 吐いた息
温かかった

「私あなたを愛してた」
言葉にして涙が出た
狂おしいほど強く強く愛してた
曇り空隙間から射す光 照らしてくれるわ
大丈夫 明日は笑えるから きっと
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