ウィスキー

別れは突然やってくる 18歳の春
音楽は僕にとって天国への手紙でもあります
お父さん あなたに

それこそ僕がまだ8歳の頃 夏の日トマトを収穫したね
あの畑も今は駐車場になったよ 僕も来年でもう41になる
思い出す家の前でのキャッチボール カーブの練習は日が暮れるまで
夜は腕相撲 ぎりぎりでわざと負けるあなたは勝った僕を見て嬉しそうだ
あなたが棚に残していったウィスキーは 僕が責任をもって飲み干しました
飲み方もわからず 目がまわったよ ひどいなまだ18だぜ
失敗もしながらそれなりに いっちょまえに 酒も覚えたし
僕がそっちに行ったら 一杯やってください
話したい事がもう たくさんあります

時々つらいことがあるとね ひとりぼっちになってウィスキーをロック
あなたもそうだったんですか? 僕はあなたの苦労を知らなすぎた

プロ野球の試合を一度見てみたいと 話したが行けずじまいの二枚のチケット
雨の名古屋球場また今度いこうと 慰めてくれたのに不機嫌でごめんね
ブレイブハートは大好きな映画 あのシーンを見てあなたは泣いていた
多くを語らないあなたでしたが 沈黙もまた僕らを繋いでいた
大晦日、初詣にいこうか 紅白を見終えてゆく年来る年
マフラーと手袋、懐中電灯も装備 二人てくてく歩いて弾む白い吐息
毎年恒例の甘酒を飲んだね たき火をたくさんの人で囲んだね
「何をお願いしたの?」「太くんたちの健康だよ。」
じゃあなんでお父さんがいくんだよ

時々つらいことがあるとね ひとりぼっちになってウィスキーをロック
あなたもそうだったんですか? 僕はあなたの苦労を知らなすぎた
時々つらいことがあるとね ひとりぼっちになってウィスキーをロック
あなたもそうだったんですか? 僕はあなたの苦労を知らなすぎた
会いたいのに

あなたが残してくれたこの体で
歌えてるという事実がもう宝です
生まれ変わりという遥か彼方で
また僕のお父さんでいて下さい
今は安らかに
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