まぼろしのブルース

橋のたもとに ひとり来て
川面を見れば ふと浮かぶ
憎いいとしい あの人の
まぼろしばかり 行く水に
あゝやるせなく ゆれている

水の流れは 変らぬに
なんであれきり 逢えぬ人
古い傷あと うずくから
じっと抱きしめ 目をとじる
あゝうたかたの 夢かなし

恋の涙の ほろ苦さ
胸にのこして 消えた人
爪をかんでは いけないと
言ったやさしい 思いやり
あゝ恋しさに しのびなく
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