歌の中で

誰かが言った 歌の中で
ああ 
静かに伸びていくのは季節の気配だけ
輝きも少しは無くした私に
現れてくるのは 続く長い灰汁

どこにでも行くには 
抱えている言葉用も無い

別れたひとが 座った跡に
ああ
姿を晦ませても 近くで打ち上がる
何かを引き寄せても 結ばない糸は
くじの宝と似て 手放すべきであって

どこにでも行くには
抱えている言葉用もない
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