藍染の高尾

隠した心は 捨てたはず
今更素顔に なれようか
夢だけ置いて 行きなんし
嘘で終われば 良(よ)いものを
聞けば涙が あふれ出て
一人の女に 戻ります

紺屋(こうや)のその手が 藍色に
染めゆくものなら 今すぐと
覚悟は誰も 止められぬ
煙管(きせる)差し出す 指先は
厚い化粧の その下で
うっすら染屋の 色になる

待たせたお人に 尽します
全てを委ねた 藍染の
高尾を待って くれなんし
今のうちから 少しずつ
嘘も言葉も 染直し
明けのその日に まいります
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