面影橋から…

「この橋渡ったら お別れです」と
お前は淋しく 笑ってみせた
坂の街 暮らした二年半
遠い日の想い出が こんなにも愛しい
時よ戻して あの人を
面影橋から もう一度

川沿い桜径(みち) 寄り添いながら
お前は映画の ようだと言った
若すぎて はしゃいだ季節(とき)は過ぎ
春を待つ日無坂(ひなしざか) なつかしい夕暮れ
橋のたもとで 微笑んで
面影橋から もう一度

「あなたは一人でも 生きられるでしょう」
お前の口癖 答えもせずに
遠ざかる靴音 後ろ影
この胸を責めるよに 花びらが舞い散る
時よ戻して あの人を
面影橋から もう一度
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