いまひとたび

まだ古の記憶は 消えず
時を超えて 君へと辿り着く

花びらが舞い降りて
次々 水面を染める
「わが身世にふる ながめせしまに」
ああ 君は何処

夕陽を纏う 後ろ姿を
忘れた日などない

この流るる川が出逢う時
愛し君に
再び逢えると信じて

最後のひとひらが 散って
季節廻り 景色が変わっても
色褪せずに君へと溢れだす

辛く儚い旅を
ずっと続けられるのは
君も探してくれていること
感じられるから

優しい風は あの日と同じ
けれど今は一人

ふと隣に君がいる気がして
伸ばすその手
やっぱり空を掴むだけ

刻まれた縁は 消えず
幾度となく繰り返す途中で
また出逢えるその日を夢に見る

この世に生まれ落ちて
願いはただ一つ
もし叶うのならば
もう何も要らない
どうか届いて

そして行き着いた川のほとり
夕陽纏う
記憶のままのその瞳

この流るる川が出逢う時
愛し君に
再び逢えると信じ 嗚呼

古の記憶は 消えず
永遠と思える時を超えて
いまひとたび 君へと辿り着く
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