春風

「幸せになりたいわ」と 君は力なく笑った
ため息 風に溶けて見えなくなる
もうすぐ春が来ます

君が欲しがってた返事は
あんなものじゃなかったな
そんなことばかり考えてるよ
正解はわからないまま

風吹け 君の髪よなびけ
意味のない言葉を繰り返して笑った日々よ

手紙を書き終えたら
誰もいない改札を抜けて
イカしたブルーの汽車に乗って
この町を出てゆくのです

息も絶え絶えに繰り返す普通の日々を
彩る魔法が使えたのさ あの時 間違いなく

ふたりの日々が折り重なって
あなたの背骨を押し潰したことも
知ってるよ

汽笛が唸りを上げ
遠ざかるふるさとの町に
隠した記憶と引き換えにして
機関車は走るのです

過ぎる景色 秘密のこと 束ねたら
窓の外に放して見送るから
手を振ってね

手紙を書き終えたら
誰もいない改札を抜けて
イカしたブルーの汽車に乗って
この町を出てゆくのです
風吹け 君の頬に
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