春の蝉

逢えない歳月(つきひ)の 永さに耐えて
痩せてゆくのね 三日月は
別れ決めたら 振り向かないで
女は明日(あした)へ 旅立つの
あなた見えない 心の闇に
焦がれ鳴きする… 春の蝉

一緒になろうと あなたの言葉
無理と知りつつ 信じてた
夜風(かぜ)におびえて 寝返りうてば
優しくさしだす 腕まくら
ふたり過ごした あの日のように
しぼる命の… 春の蝉

淋しさいくつも こらえてゆけば
いつか倖せ 見えますか
生まれ変わって ひとりになって
女は明日(あした)へ 旅立つの
乳房(むね)の隙間を 震わすように
咽び鳴きする 春の蝉
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