公然の秘密

嘘吹けば流れる人の波 甘い思考でのぼせる脂肪
横道の屋根の下隅 黄色い歯が微笑み寄る

同情していたあなたさえ 素知らぬ振りで肌を剥く

痛い痛いと叫んでも 生暖かい熱が
居ない居ないと嘘をつき 指を数う

そこここに隠した夜月
両端吊り上げられた唇の中 私の胸 一面の百合の壁

考えることを止めたら 確かに何もなくていい

痛い痛いと叫んでも 生暖かい熱が
居ない居ないと嘘をつき 指を数う

灯りから零れ出る夢 消さず触れず眺めるだけ

失ったあの春も 六畳間も随分慣れてしまったようで
枯れても百合と言えましょうか

痛い痛いと叫んでも 生暖かい熱が
居ない居ないと嘘をつき 指を数う

何ももう要らないのに 君が与えるは愛
居ない居ないと嘘をついたのは私

気づかないで
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