夏の終わり

熱からさめた日差しが お前の横顔みたいな風が
今年も一回こっきりの夏が終わりを教える

訳もなく夏の終わりが
寂しいのは子供だけじゃないんだぜ
ひとりじゃないから笑うのも
笑われたくないから黙るのも

あの日と同じ不安と
あの日と同じ胸の痛みと
あの日と違う リアルを連れてくるから

いつかお前がぽつんと言った 夏の終わりは寂しいね
何言ってんだ 笑ったけど ほんとは俺も寂しかった

ふたりでいてもふたりはふたりで
想い合っても癒せない思いは
小さいときにたぶん身につけた
それぞれのやり方で

あの日と同じ不安と
あの日と同じ胸の痛みと
あの日と違う リアルを薄めて

急に身を引いた夏に慌てた秋は間に合わず
ぽっかり空いた夏と秋の溝に落ちないように
ふたりは手をつなぐ

訳もなく夏の終わりが
寂しいのは子供だけじゃないんだぜ
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