父娘うた (ニューバージョン)

おんなだてらに 故郷(くに)出てきたが
胸にさわぐは 父の声
錦飾れる その日まで
二度と敷居は またぐなと
あれは十九歳(じゅうく)の春弥生(はるやよい) あゝ春弥生(はるやよい)

成るか成らぬか 分からぬ娘の夢のため
からだ震わせ突き離した 父(おや)の心が
今はしみじみ 分かります
ああ 我が身の胸に手を入れて
命をちぎり取った…
そんな思いだったのかも 知れませんね

泣くな泣くなと わたしをあやす
父が泣いてた 日暮れ坂
母を知らない 幼子(おさなご)が
父の背中で 聴いたうた
今も聴こえる子守うた あゝ子守うた

父娘(おやこ)ってなんなのでしょうか
幸せってなんなのでしょうか
今さらに心を痛め生きております
あれも夢なら これも夢
たとえ遠くに離れていても
心は一時(いっとき)として 離れる事は有りません

千里万里を 行くことよりも
背なに重たい 親の恩
それを承知の 親不孝
詫びる都の 十三夜月(じゅうさんや)
ひとり今宵(こよい)も手をあわす あゝ手をあわす
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