母恋たより

お母さん お変わりないですか
都会に暮らして もう五年
思いだすのは 夜なべして
働きづくめの 荒れた指
その手の温みは 忘れない
どこに住んでも 心はあなたの隣です

お母さん もうすぐ冬ですね
お山に小雪が 舞う頃ね
眠れないまま ペンを持つ
なみだが邪魔する 手紙文字
幼子みたいに 恋しくて
帰りたいのに 元気でいますと消して書く

お母さん 風邪など引かないで
小窓を叩いて 吹く夜風
春になったら 飛んで行く
その日を夢見て 頑張るわ
少しは大人に なれたでしょ
人を愛して 優しい涙を知りました
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