冬紅葉

今日という日が 最後でも
見させて夢を つかの間の
ふたり忍びの 雪の里
まるで命を 灯(とも)すよに
燃えて点点(てんてん) 冬紅葉

風にたたかれ 霜を受け
それでも紅く 色を増す
どこかふたりに 似た運命(さだめ)
凍る涙を 抱きしめて
情け深深(しんしん) 冬紅葉

邪魔になる日が 来た時は
捨ててと泣けば 叱られた
ふたり契りの かくれ宿
まるでおんなの 炎(ひ)のように
燃えて燦燦(さんさん) 冬紅葉
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