テレパシー

夕立が響く
鉄橋の下
頬伝う雨粒
君はふざけて
指で拭いながら言う
「泣かないで」

小さく笑う僕に言う
「泣かないで」

視線を逸らした先
紫陽花が呼ぶ雷

日常の
例えばこんな一瞬さえ
いつの日か
きっと思いだすだろう

飛び出した君が言う
「羽ばたいて」

「あの雲を見下ろすまで、羽ばたいて」

一陣の風が運ぶ
過ぎ去った夏の記憶

視線を逸らした先
紫陽花が呼ぶ雷

遠くへ

遠くへ

空映す水たまり
川岸に咲く花火
君と見た花火

いつの間にか
湿った風が運んだ張り紙
そこに描かれた
大きな飛行船
×