クラゲになった日の話

あれはよく晴れた夏の日でした
朝から近所の図書館へ、涼みに
昨日は蒸して眠れなかったので
本に隠れて寝ようかと思って

食わず嫌いは直す気もない
きっとあなたを好きにはならない
手にとった小説の書き出しを
何度も読み返しているうちに

私はいつの間にか海の中にいて
ゆっくり漂っていました
ほんのり光るクラゲになって
何も考えることはなく
ただただ潮の流れに
身を任せているようでした

散らばった文字には気付かないまま
深く息をして、浮かんでゆく

それから沈みだした光をあつめて
大きな枕をこさえました
いつか聴いたようなうたで眠って
ずっと醒めることなどなく
ただただ潮の流れに
身を任せているようでした
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