春霞

心地いい風が吹いた 春の匂いがした
平気な顔してみたけど
あんまり上手じゃなかったみたい
それぞれにこれからの日々が待ち構えているから
隣を歩いてる人の未来まで願っていた

落書きした机 黄ばんだ廊下
当たり前じゃなくなると
気付いてしまえば 悲しくなると
気付いてしまったから 止まらない

泣いてた頃の思い出とか
どうでもよくなっていた
今 ここにあるのは 楽しく笑ってた日々だけ
今日の日を終えてしまえば
思い出になってしまうから
心地いい風に そっと明日を破いて流した
桜の花びらのように

同じ空の下とか時間とか
曖昧すぎてわからないから
やっぱり手は繋いでおきたいんだけど
それも無理な話だ
寄り添える何かがあったんだ
だから僕は貴方といたんだ
よそよそしい言葉とか
いらないから ここにいたんだ

貴方と出会い 手を繋ぎ
確かめ合った温度がここにあるから
味わってしまった幸せ お別れの時の
苦しさを育てて 襲って来る

遣る瀬無い想いとか 不安や後悔はいつか
忘れてしまうものだから 涙は溢れてくるのかな
空っぽの手を埋めてくれた 失った時間の中で
一人だと思う瞬間が
あまりに 少なかったのだろう

さよならなんて 四文字の言葉
それだけで すべて終わってしまうなら
そんな言葉は 僕の辞書にはない
それでいい それでいい それでいいんだよ

流れたら受け止めてくれた
そんな優しさがあったから
受け止めてもらえない涙は 落ちてゆくのだろう
今 ここにあるのは 楽しく笑ってた日々だけ
心地いい風よ どうか
この温度と涙をさらってくれ
霞みゆく この春の中に
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