秋止符

左ききのあなたの手紙
右手でなぞって真似てみる
いくら書いても埋めつくせない
白紙の行が そこにある

友情なんて呼べるほど
綺麗事で済むような
男と女じゃないことなど
うすうす感じていたけれど

あの夏の日がなかったら
楽しい日々が続いたのに
今年の秋はいつもの秋より
長くなりそうな そんな気がして

夢を両手に都会(まち)に出て
何も掴めず帰るけど
やさしさの扉を開ける鍵は
眠れない夜が そっと教えた

心も体も開きあい
それから始まるものがある
それを愛とは言わないけれど
それを愛とは言えないけれど

あの夏の日がなかったら
楽しい日々が続いたのに
今年の秋はいつもの秋より
長くなりそうな そんな気がして

春の嵐が来る前に
暖かい風が吹く前に

重いコートは脱ぎすてなければ
歩けないような そんな気がして
×