手のひらの落書き

放課後 電車を待ちながら思いだすのはさっきのこと
まるでわたしの心のように踊るスカート押さえてる
「明日17時に駅前で」教科書のあなたの落書き
切り取って 手のひらに乗せてくれたんだ

アルファベットの名前順も 並んだときの背の高さも
近づくことはないけれど
いつも一緒に遊んでる いつも一緒に笑ってる
“さよなら”の言葉も知らずに

遠い夢を話すあなたを 誰よりそばで見ていたい
疲れた日のあなたのあくびを 誰より多く聞いていたい
はやく会いたいな

つめたく横切る風に胸の奥がツンとなる
ベンチに座る少年少女は だんだん肩が触れていく
右手のなかで小さくなったあなたの落書き
こっそり何度もひらいて閉じた

人は他人(ひと)を好きになったり 広い景色に憧れながら
大人になってくはずなのに
いつも一緒に怒られて いつも一緒に走ってる
もう少しこのままいようよ

強く自由なあなたの瞳に 誰より永く映っていたい
もしもあなたがウソをついても 誰より深く信じたい
はやく会いたいな

たったひとつのふたりの約束
今もにぎりしめている

遠い夢を話すあなたを 誰よりそばで見ていたい
疲れた日のあなたのあくびを 誰より多く聞いていたい
はやく会いたいな
あなたはどうかな
×