マフラー

彼女はいま
白鳥が飛ぶ夢を見ている
眠ってしまえば全部
忘れられるんでしょう

この街を出てゆくときは
何一つ持たなくても
昨日のことはいつの日か
思い出すに違いない

彼はいま列車の上で
あの町を遠くから眺めて
ほつれたマフラーの隅っこをくわえて
野球のこととか考える

今夜も
新しい日が僕らを待ちわびて
色褪せていく思い出も沢山あるけど

君は今遠くの町で
あの日々をアルバムに閉じ込めて
ぼやけた頭の隅っこの空白で
テレビのこととか考える

美しい
町は今
君は今
眠る頃、眠る頃
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