四畳半の蝉

あなたに捨てられた 人生は
生きているのが 辛いから
電気も消して 布団にくるまり
わたしは時々 死ぬのです
二日も三日も 何もせず
泣き声ひとつ あげないで
四畳半一間 じっとして
土に還った 蝉のように

二人の夏の日は 過ぎ去って
枯葉舞い散る 秋が来て
食事もせずに 心も置き去り
私はやっぱり 死ぬのです
朝から晩まで ひとりきり
訪ねてくれる 人もなく
四畳半一間 丸くなり
土に還った 蝉のように

羽ばたく羽さえ もうないの
どこへも心 飛べないわ
四畳半一間 眠るのよ
土に還った 蝉のように
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