一輪の影

行くなと引き留めていれば
そんなこと思ってばかり
あなたの静かな吐息の中に
張り裂けそうな痛みがあった
瞳の奥映る色は
この宇宙(そら)よりも美しい
でも涙がすぐ奪い去るから
儚い夢も見られないんだね

嘘がまた嘘をつくように
傷をかばうたびに傷つくんだ
もしも次逢えたら 二度と離さない

白い花びら散らしてどこへ行く
淡いぬくもり残してどこへ行く
なんで今さらにあなたをこんなにも愛しく想うの
白い花びら連れ去る風が吹く
それとは逆の方へと歩きだす
揺れる一輪の影 僕に手を振っているようで
後ろ髪を引かれている

急に懐かしそうな顔で少女のように笑うんだね
いつの間にかほころぶ口元に
やさしい言葉があふれていた

時に記憶の片隅で闇に潰されそうになるときも
どうか忘れないで 光は消えない

白い花びら散らしてどこへ行く
淡いぬくもり残してどこへ行く
なんで今さらにあなたをこんなにも愛しく想うの
白い花びら連れ去る風が吹く
それとは逆の方へと歩きだす
揺れる一輪の影 僕に手を振っているようで
後ろ髪を引かれている

白い花びら散らしてどこへ行く
淡いぬくもり残してどこへ行く
いっそ忘れるくらい遠くへ 裏腹な願いも虚しい
今頃あなたは何処で何を想う
繋がったあの刹那を悔むのか
消えた一輪の影 冷たい月が昇るのを
独りずっと眺めている
今も胸に咲く花よ
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