北の星

のれんに染みた 歳月を
しまう夜更けに 思い出す
修行時代に 涙こらえた失敗も
今じゃ大事な 味形見
屋台引いてた 親父の手
赤くて でかくて 痛かった
見上げた夜空に 北の星

あれほど好きな 酒なのに
いつかぴたりと やめたのは
半端なりにも 一丁前に この俺が
一人立ちする 日を願う
間口二間の 店だけど
親父と 呑み合い したかった
見上げた夜空に 北の星

混み合うときは 手伝って
くれるあの娘は おふくろ似
所帯持つには たとえ好きでも まだ早い
ひとの娘を もらうなど
親父だったら 何と言う
少しは 楽して ほしかった
見上げた夜空に 北の星

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