千鳥の舞

瀬戸は引き潮 夕浪(ゆうなみ)しぐれ
あれも夢です これも夢
せめて逢いたや もう一度
はぐれ千鳥の 啼く声に
偲(しの)ぶ都の あのひとを

思いだします 福良(ふくら)の湾(みなと)
情かわした 春弥生(やよい)
揺れる入江の 恋小舟
呼べど帰らぬ あのひとを
待って今宵も 身を焦がす

出(い)でしあの月 雲間にかくれ
洗い髪にも ひやり風
夢で逢いたや ひと目でも
雨戸震(ふる)わす 潮鳴りに
幾夜寝覚めて 袖(そで)濡らす
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