白に融ける

透過してみた
君の瞳に何が映り込んでいて
何を知って何を感じているのかは分からず
シャツの向こう 左胸に黒く染まる斑点はきっと
知らぬ間に焼きつけていた

東から陽が昇り出してる
積もった雪が溶け始めるように
僕の中の君がゆらり流れ出していた
冷えた体 迎えた朝
どこにいても漂っていたんだ
記憶を書き換えてもまだ残り香だけは

放物線が弧を描いてく
遠く遠く投げてみたって、どうしたって届くはずもない
暗く狭く手探りで歩く、光さえも差し込まないこの部屋
創り上げたのは君じゃなく僕自身だから

東から陽が昇り出してる
積もった雪が溶け始めるように
僕の中の君がゆらり流れ出していた
頬に触れて確かめ合う
陽射しは二度と差し込むこともない
君の中でしか僕はもう生きてなどいけなくて

願った理想郷はやがて
曇った空が肥大してくように
涙で滲んだ愛は次第に支配されていた
止まったはずのあの時間も
君とならまたやり直せるって思っていた

この常世総て、未来ごと消し去って
願い続ける憧憬
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