選ばれぬ者

どのように扱われるかを
俺たちには選べない
それは刀としての宿命
虎徹として飾られる
それが 俺に与えられた運命(さだめ)
受け入れるしかなかった
でも 今は…

戦うために使われること
俺たちには選べない
それが刀としての宿命
虎徹として人を斬る
それが 俺の果たすべき役割
揺るがぬ現実だった
でも 今は…

選ばれることを 選べない
選ばれぬことを 選べない

「…勝手なこと言いやがって」

今でも思い出す
今でも忘れられない
あの人の血の ほとばしる熱
こんな思いは 俺だけで十分だ

それでも 共に戦いたかった
ずっと 一緒にいたかった

あんな思い
あいつにはさせたくはない

それでも…それでも

もしもの話は嫌いだ
嘆いていても仕方ない
俺だって最後まで一緒にいられたわけじゃねえ
だけど だけど
胸張るしかねえだろ

「わかってるよ…」

選ばれることを 選べない
選ばれぬことを 選べない
僕たちだけじゃない
あの人たちだって

時代に選ばれずに死んでいった…

選ばれなかったのは

「…わかってる」

みんな同じだよ

選ばれることを (選ばれることを)
選べない (選べない)
選ばれぬことを (選ばれぬことを)
選べない (選べない)

でも今は 意思を持ち 身体を持つ

だから…
選びたいんだ
何がしたいかを
自分の意志で

時代が…
かつての主が…
俺を
武器として
選ぶことのないまま
飾られている内に
刀の時代は…
いつの間にか 過ぎた
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