霧の中

眠るまで話をしよう 少しだけ遅い朝を待つあいだ
あたたかな雨の奥で 答えがもしも霧の中でも

目をとじて 幾つ憶えたことを 放り投げて

眠るまで話していよう すべての言葉に意味などなくても
ささやかなふたりごとに また始めから魔法をかけて

目をとじて映る 悲しいことを 並べ換えて
あたらしい話に紡いで あなたに見せたくて、嬉しくて

雨の匂いが嫌だわ あなたを見失って
悲しい気持ちになるから
答えなどなくていいわ どれだけ美しい日々
あなたがそばにいるだけで

窓の外は霧の中 少しだけ眠い手をほどきながら
夢を見たら教えて欲しい あたらしい朝の来る前に

もうおやすみ 肩を重ねることをためらって
もうおやすみ 何度も産まれ変わりながら またこの雨の中で

目をとじて映る 悲しいことを 並べ換えて
あたらしい話に紡いで あなたに見せたくて、ただそれだけ

雨の匂いが嫌だわ あなたを見失って
悲しい気持ちになるから
答えなどなくていいわ どれほど美しい日々
あなたがそばにいるだけで
世界中にあたたかな雨の降る夜だから
優しいふりをしてみせて
このながい雨の奥で この深い霧の中で
ただ手をつないで眠ろう
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