伴奏者の恋

最後のフレーズを弾き終って
僕は譜面越しのきみを見てた
未来へ消えた残響
もう寄り添うことのない
きみの声を探しながら
横顔に恋してた
頬なでる風のようなソプラノ

夕映え降り注ぐ音楽室の隅に
いまでも僕たちをつなぐ
五線紙の裏側に走り書きした夢
途切れてしまわないように
歌声は微笑みを
そっと魔法のように連れて来て
雨の日もきらめきを
忘れずにいてよと
やさしく肩を抱く いまでも
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