忍冬

人影まばらな寂れた駅
心細い待ち合わせ
大きすぎるボストンバッグに
僅かな荷物寄せ合って

夜行列車の窓に映るのは
ゆらりゝ夢見空

遠く離れて行く故郷(ふるさと)を捨てて
千切れる想いと情熱を胸に

眩しい朝日は希望の光
貴方(あなた)と二人、新天地

「でも、やっぱり…」
若い決意も揺れる時には
ほろりゝ涙空

…だけど
唇噛むのは心の中だけ
「笑顔」と「健気」は私の努め

ささやかな春を待ちわびて
艱難辛苦(かんなんしんく)なんのその

莟を付ける忍冬(すいかずら)
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