相聞歌

君と歩きぬ 疎水(そすい)のほとり
流れる水に花びら浮かべ
二人の未来をそっと占いし
白魚の指 今も鮮やか

勾玉(まがたま)の子よ 無事に育てと
衣(きぬ)の上から掌を当て
まだ見ぬ我が子に囁きかけぬ
あの日の君は天女と見紛(みまご)う

読み人知らずの
歌が残るように
ささやかなれど
明日(あす)に続く 我が人生

君と語りし 暮れなずむ宵
送り火の火は人の寝姿か
山に抱(いだ)かれ安らぐ形
民の祈りが天をも焦がす

古人(いにしえびと)の歌を歌いつがん
君と手に手を取りて歩む
我が人生

読み人知らずの
歌が残るように
ささやかなれど
明日(あす)に続く 我が人生

君と手に手を取りて歩まん
我が人生
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