雪月夜

同じ痛みを 道づれに
ふたり出直す 北の町
遠くちらちら 家並みの
点(とも)る灯りが 呼ぶような
墨絵ぼかしの ああ雪月夜

燃えるちいさな 命火を
俺にあずけて くれた女(ひと)
そんなおまえが いとしくて
細い肩先 抱き寄せりゃ
匂う黒髪 ああ雪月夜

まるで過去(むかし)を 消すように
風にはらはら 雪の華
心かさねる 湯の宿の
春を待ってる 寒つばき
紅がほのかに ああ雪月夜
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