北帰行

窓は夜露に濡れて
都すでに遠のく
北へ帰る旅人ひとり
涙流れてやまず

富も名誉も恋も
遠きあこがれの日の
淡きのぞみはかなき心
恩愛我をさりぬ

わが身いるるにせまき
国を去らんとすれば
せめて名残りの花の小枝
つきぬ未練の色か

今は黙してゆかん
何を又語るべき
さらば祖国我がふるさとよ
明日は異郷の旅路
明日は異郷の旅路
×