漂流記

アスファルト 流れる雨のひとすじが
河になったら 僕はもうここには居ない
あてもなく 流れてゆくよ

シャッターの降りた横須賀
陽の暮れのざわめきあとに
浪漫という切符を手に
荒れ狂う海に乗り出す

サンフランシスコ湾 男と女の
サンフランシスコ湾 港はあるかい
旧いバーで 一人酔えば
ああ 俺は今、漂う船だよ

海風に しめった煙草投げた時
火の粉が散った トレンチを肩からはおる
見も知らぬ 女と二人

折れそうな 女の肩
あの頃のおまえ 重ねた
あばずれも腕の中では
淋し気な少女だったよ

サンフランシスコ湾 やさしい女の
サンフランシスコ湾 枕はあるかい
空の壜に 謳いかける
ああ 俺は今、漂う男さ

サンフランシスコ湾 やさしい女の
サンフランシスコ湾 枕はあるかい
空の壜に 謳いかける
ああ 俺は今、漂う男さ
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