おぼえている

「…どういうつもりだ?」
「…よしつねこうをいじめないで!」
「今剣!」

ぼくは まもりがたな
よしつねこうを まもるのが やくわり
だから おねがい

「今剣!」
「こないで!」

おぼえているんだ あたたかいてのひらを
おぼえているんだ あたたかいあのかたの…
あのかたの…

歴史を守るのが 使命
「…いやだ。」
それが我らの 使命
「いやだよ…。」

「…今剣…そこを退くんだ。」
「…いわとおし。」
「どけーーー!」

いやだよ…せっかくあえたんだよ
よしつねこうに…

「今剣!」
「はなして!」

「くるよ。」
「!」

一瞬にして淀む空気
その気配に身の毛もよだつ
ぼくは…まもりがたな
一瞬にして消えた星
澄む夜空に立ち込める暗雲
ぼくの…やくわり
地響きの様な叫びとともに…
Ah―

「義経!」

「やめて!…いやだ…もういやなんだ。」
あのかたがいなくなってしまうのは…
おぼえているんだ やさしいえがおを
おぼえているんだ いさましいすがたを

「…あれはもはや義経公ではない。」
「…いやだよ…れきしがもどったら…
けっきょくぼくは…。」
覚えているんだ はっきりと
「おぼえているんだ…。」
温かい掌を その感触も
「あたたかいてのひらを…。」
覚えているんだ 鮮やかなる 温かい
「あのかたの…。」
血汐

「今剣…お前は悪くない。」
「…。」
「お前は何も悪くないんだ。」

忘れろとは言わない
だが責めるな 自分の事を

見上げた空には たからもの

「え…。」

きらきら光るお星さま
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