ふれ逢い橋

枯れることなく流れる 小名木(おなぎ)川
ポツリポツリと水面を 叩く雨
幼な子をこの腕(て)に 抱きしめて
女捨て 涙すて
生きる女の しぐれ橋

みんな過去から逃れて この街へ
古い家並み連らなる 細い路地
住む人のやさしさ ぬくもりに
いやされて 励まされ
暮らすふたりの さだめ橋

川は流れる今日も 人の世の
愁(うれ)い嘆(なげ)きを沈めて 街の谷
ささやかな倖せ 夢にみて
行く人も 来る人も
愛がふれ逢う 情け橋
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