儚い物語

入り組んだ路地の途中で
すれ違った少女は
見たことない制服着て
長い髪 束ねてた

まだ青いパパイヤに似た
澄み切った瞳(め)をしてる
どこかで蝉の鳴き声が
ふいに聴こえ始めた

民家のその軒先で
ずっと待ち続ければ
また君に会える気がしてた
いつの日か

恋と呼べないほど
儚い物語
始まるわけじゃないけど
終わるはずもなかった
願い 叶うよりも
夢は夢のままで
風が吹き抜けるように
すべて記憶は消える
甘い痛み残して…

竹竿が手持ち無沙汰に
物干し台に揺れる
誰かの洗濯物など
何もなかったのかな

あの日 振り向いた時
天使を見つけたんだ
遠ざかる華奢なその背中
瞳(め)に浮かぶ

愛と気づかなくて
見送ってしまった
言葉も掛けられぬまま
次の角を曲がった
あれは幻なのか?

手に入ることない 一瞬の片思い
僕の想いは強くなる

恋と呼べないほど
儚い物語
始まるわけじゃないけど
終わるはずもなかった
願い 叶うよりも
夢は夢のままで
風が吹き抜けるように
すべて記憶は消える
甘い痛み残して…
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