風船とばす

思い出の海が空に負けないくらい青い
風は諦めて波も今では平ら
さざ波は珊瑚を岸に追いやった
私はそれを拾って箸置きにした

部屋の明かりは空の続きを描いた
少しでも寂しくないよに気を遣って
思い出は全部庭にまき散らした
くだらないから 明日のために働こ

子供達が風船とばす 糸に種つけて風船とばす
風は張り切って想いとばす センセも一緒に空へとばす

家の間取りは説明するまでもない
ドアまで手伸ばしたら腕も長くみえた
日曜日 暇潰しのパズルにも飽きた
こんな家借りるため 明日もまた働く

子供達が風船とばす 学校の畑から願いこめて
風は張り切って想いとばす あらゆる人の頬をかすめて
庭で赤いひとつ見つけた 私はそれも庭に撒いた
その子に短い手紙書いた 小指が少し黒くなった

どんなけたっても庭は一面焦げ茶色
それでも窓の外 気になって毎日見る
折れた赤鉛筆もって花の絵描いた
ぽろぽろ落ちた涙 その花咲かせた
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