吾妻橋で待つ女

好(す)いた惚れたで 結ばれる
それが叶わぬ さだめの恋よ
夜の隅田の 川風が
涙ひと粒 やさしく撫でる
あゝ今宵また
吾妻橋で待つ女

あれは去年の お酉(とり)さま
買った熊手が 取りもつ縁よ
顔をかくした 忍び逢い
身分違いと 世間は云うの
あゝあてもなく
吾妻橋で待つ女

夜空(そら)を見上げりゃ また潤(うる)む
泣いているよな 浅草ねおん
今は幸せ それよりも
たった一夜(ひとよ)の 逢瀬が欲しい
あゝ影ひとつ
吾妻橋で待つ女
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