ゆうれい

また、きのうによく似た白い朝がゆっくりはじまって
みんなの期待に応えるような いつものわたしになる
なにも 話すことがないときは ふいに おしゃべりになる
コトバがあふれて そのはやさに まるで追いつけない
もがいているだけ。

ガラス越しに 見える街の色は モノクロームのまま
とおい昔の写真の中でさえ わたしはいない

それぞれのしあわせと かなしみは ふたり はしの上
でありそうな時も はなれる 時もいつも 見つめているだけ

何もおこらないことには もう慣れている
今日は何かひとつでも 変えられるだろうか
雨にぬれた家の前にはきっと わたしが立っている

どんな未来なら わたしは 手を振れるだろう
今日と少しはちがう顔でいるだろうか

わたしは わたしの一番たいせつなものが わからない
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