童謡

やさしい人は 時に残酷な爪をたて
心にもない 言葉でこころを切り裂いて
悪びれもせず ウラもオモテもない顔で
さりげないほど あざやかに 気配を隠して

たのみもしないのにあらわれ
ありあわせのようなうた歌い
気分がかわるたびに人を変え人を投げて
いつのまにかいない

死にないほど 自分がキライな人がいる
ふるえるほど 自分が好きな人がいる
今日はなぜか誰かに会いに行きたくて
崩れかけの袋小路に入り込む

永遠なんて 一度も見たこともなくて
今日は めの前のもの 触れてみたくなる

泣きたいくらい 何もないのは 誰のせい
いつごろからか 同じことばかり つぶやいて
からみ合って もつれたものが ほどけても
俺はもう一度 はじめのころに戻りたい
押し付けられた 自由なからだを葬って
長い列のいちばんうしろに並んでる

やさしい人のやさしいおもいがのしかかる
やさしい人のやさしい視線が突き刺さる
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