都会交響楽

わたしゃ芸者よ ながれの小舟(おぶね)
ながれながれて あてない浮世
櫂(かい)は三すじの糸と撥(ばち) 糸と撥

わたしゃデパートの マネキン娘
昼の日なかを あの店(たな)ざらし
顔で笑って腹で泣く 腹で泣く

女よいもの 情で生きる
惚れりゃ地獄の底までも
好いて好かれりゃ 命もいらぬ
どうせ縁(えにし)はニ世(にせ)三世(さんせ)

一度なりたや 野球の選手
恋のデッド・ボール 雨ほど受けて
見事うちたいホームラン ホームラン

プロレタリヤに どこ見て惚れた
朝の作業の 菜っ葉の服よ
振ったハンマーのほどのよさ ほどのよさ

男よいもの 力で生きる
意地と我慢の横車
押して押されて 命もいらぬ
どうせ浮世は七ころび
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