何んかちょうだい

金色の満月に
艶な姿の洗い髪
天花粉など塗りながら
隠元の筋剥く
なんて 天下泰平

日が暮れて神無月
野分き柳の影法師
小田原提灯ぶら下げて
ひょうそのつめを割る
なんて 天下泰平

ななな…… 何んかちょうだい
天下 天下 天下泰平
何んか何んか何んか……

上水の河川敷
風に流れる枯れすすき
ひねもすつりに咳ひとつ
水面を跳ねる鮒
なんて 天下泰平

馬が行く 人が行く
天下御免の往来で

大安吉日 日柄良く
尾頭付の鯛
なんて 天下泰平

ななな…… 何んかちょうだい
天下 天下 天下泰平
何んか何んか何んか……

西向きの手水場で
鴉が鳴けば鐘が鳴る
手持ち無沙汰の南京錠
袋小路に金魚売り金魚
なんて 天下泰平

さあ みなさん さあ みなさん
お耳汚した私めが
こうして生きてられるのも
平和があってこそ
なんて 天下泰平

ななな…… 何んかちょうだい
天下 天下 天下泰平
何んか何んか何んか……

何んかちょうだい
何んかちょうだい
何んかちょうだい
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